体内ミネラル検査(オリゴスキャン)

食の変化に伴う健康被害(ミネラル不足のわけ)

最近は体調不良を理由に受診される患者さまがたくさんいらっしゃいます。
病気が原因でなく栄養障害がもたらした結果、とくにミネラル不足によって起こる症状が目立つようになりました。

これは食事が日本食から欧米化してきたために、カロリーは高いが、ビタミン、ミネラルが不足しているからです。

特に日本人の場合は、遺伝子の関係もありますが環境に左右されやすい民族でもあります。
現代の食の現状においては、ビタミン、ミネラル不足からおこる病気が非常に多くなってくることがわかっています。

欧米ではビタミン、ミネラル不足が、自閉症・うつ病をまねいているという報告があり、それらを治療するためには、食生活の改善またアドバイス等によって多くの方が治っているとの報告もあります。

現在の日本人がミネラル不足にある状況は、さまざまな要素があります。

  1. 環境と土壌
  2. 現代の食生活の変化
  3. 加工食品の影響

みなさんご存知でしょうか、『坂の上の雲』という小説のなかでもあったと思いますが、日露戦争で、陸軍では27000人が脚気によって死亡しています。
脚気がおこりはじめたのは、軍医である森鴎外のすすめで、白米ばかりをたべていたからでした。脚気は気力、体力が低下し、しびれやむくみがでて、心不全に陥り死亡してしまうものでした。

昭和になって後からわかったのですが、玄米の糠の部分に含まれるビタミンB1の欠乏でおこることがわかったのです。糠漬けがいいとうのは、ビタミンが豊富にふくまれているのですが、いまでは、家庭でもなくなりましたね。

日常、診察させていただいて、よくお話をきかせていただくなかでわかったこと、それは圧倒的なミネラル不足です。 食生活の指導、ビタミン・ミネラルのとりかたを教えて、実行していただくと、体調がよくなります。

これらのミネラル不足を調べるために、血液検査でなはなく、体内ミネラル検査(オリゴスキャン)という方法で行います。

検査の流れ

1分間レーザーを手に当てるだけで結果がすぐに出ます。

体内ミネラル検査は、厚生労働省が刊行する「日本人の食事摂取基準」に記載されているナトリウム、カリウム、カルシウムなどの多量ミネラル5元素と鉄、亜鉛、銅などの微量ミネラル8元素の合計13元素を必須ミネラルと定義し、またバナジウム・コバルト・ニッケルなどの元素を参考ミネラル(7元素)として評価します。さらに身体に有害と考えられているカドミウム・水銀などを有害ミネラル(6元素)として評価しています。これら必須・有害ミネラルの濃度レベルやバランスを総合的に判断し、ミネラルバランスの崩れから判断できる症状、必要とされるミネラルとがわかります。

必須ミネラルについて

生体に関する面でミネラルを分類すると、人に対する必須性から、「必須ミネラル」と「非必須ミネラル」に分けられます。
そのミネラルが必須であるか非必須であるかを決めるためには、そのミネラルが不足した場合に欠乏の状態が発生し、そのミネラルを補給することにより改善されればそのミネラルが必須ミネラルであると言えると考えられています。
しかしながら、人において欠乏の状態が発見されているミネラルは少なく、また人以外の高等動物に欠乏状態が現れるミネラルも必須である可能性があると考えられていることも含め、厚生労働省が、食事摂取基準を設定している、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、リン、セレン、ヨウ素、クロム、モリブデン、マンガン、鉄、銅、亜鉛の13種類のミネラルについて必須ミネラルと分類しています。

有害ミネラルについて

微量元素の中で生体における必須性が無いか、または必須性が明確でなく、これらの元素に暴露すると中毒などを引き起すカドミウムや水銀と、一部の研究で必須性が確認されていますが、過剰摂取などで有害性を示す、砒素、鉛、アルミニウム、ベリリウムを有害ミネラルと分類してます。
日本人の多くの患者さんが、水銀(有害ミネラル)の値が異常に高く、これはマグロの摂取のためです。これらの有害ミネラルが体調を悪くしています。
鉛は、必須性も研究されていますが、労働安全衛生法で鉛中毒予防規則が定められていて、神経系への有害性が報告されており、ベリリウムは呼吸器系への有害性などが近年研究されていることを考慮して有害ミネラルに含めています。メチル水銀は水俣病、カドミウムはイタイイタイ病の原因物質として知られています

具体的なミネラルについて

マンガンについて、これは亜鉛とならんで、不足しがちなものです。 骨の代謝、生殖機能に関係しており、筋無力症、パーキンソン病などの原因の一つといわれています。欠乏によりアセチルコリンの合成が妨げられるからです。
マンガンを多く含む食品(食べ物・食材・料理・野菜・果物・肉)は以下のようなものです。青海苔、きくらげ(乾)、生姜(生)、干しえび、えごま(乾)、アーモンド(乾)、しじみ(生)、干し柿などです。
銅も重要で、銅を必要とする酵素はコラーゲンなどのタンパク合成に必要で不足すると動脈硬化の原因になります。 クロムはインスリンの働きを増強するとされ、不足は糖尿病の発症のリスクが高まります。
ヨウ素は甲状腺ホルモンの重要な構成成分ですが、遺伝的また幼児期の食事にヨウ素不足が続くと、先天性甲状腺機能低下(クレチン病)になり、発育不全や知能低下を生じます。
クレチンという名は、ギリシャのクレタ島に由来し、ヨウ素不足のクレタ島の子供たちにおこったことからきているようです。
味覚がおかしいというかたのなかには亜鉛が不足しているかたがおおいです。亜鉛は、皮膚、内臓、脳、歯や骨の健康に欠かせないミネラルです。酵素をつくるにも不可欠なものです。
肝臓の病気をもつかたが来院されるので、血液で亜鉛の濃度を測定することが頻繁にありストレスが多いと、肝臓で亜鉛と結合するタンパク質がつくられるために、血中の亜鉛濃度が低下して亜鉛不足になります。
また、降圧剤、利尿剤、高脂質血症のくすりも、長期内服で亜鉛不足をおこすこともあります。
検査をすることにより、適切な食事の指導ができます。具体的には最近多いのは、年のせいかだるい、ダイエットしているがなかなかやせることができない、おっしゃる方々です。共通しているのは、検査をすると、有害ミネラルが非常に多い、また必須ミネラルが全体に少ないことです。この状態ですと、個人差なく、代謝、循環がわるくなります。これは、生活環境に影響しています。
有害ミネラルでは、水銀もおおいですが、アルミニウムが非常に多いです。これは、食品、飲料水の缶でアミニウムがたくさん使用されていた時代があったこと、以前のお鍋は、アルミニウムがつかわれていましたが、それが溶け出して、しらない間に摂取していたことで、体内に蓄積されているようです。
また、必須ミネラルは、前述していますが、意識して摂取しないとどうしても、不足気味になります。このような状態の方が多いのですが、意識してミネラルをとっていただく、とくにマグネシウムを意識してとっていただくようにお話しております。
具体的な食品として、海藻類、やき海苔、納豆、豆腐、ナッツ類、小魚(丸ごと食べれるもの)、皮付きの魚(さんま、しゃけ)小魚は、じゃこ、しらす、ししゃも、めざし、にぼし などのことです。このような食品を意識して1ケ月ほど、食べていると、体調がよくなった、肌がちがう、汗をかくようになった などをおっしゃるかたが多いです。
インスタント食品や加工食品のなかには亜鉛に吸収を阻害する成分もある、アルコール過剰は亜鉛を浪費します。認知症やうつ病のかたも亜鉛不足が多くみおられます。亜鉛を多く含む食品は、牡蠣、豆類、木の実、レバー、肉、魚介類、ココア、パルメザンチーズ、玄米などです。
マグネシウムをおおく含む食品としては、わかめ・焼き海苔・小魚、大豆製品・ひじき・そば粉、ナッツ類などです。
食生活の指導、ビタミン、ミネラルのとりかたを教えて、実行していただくと、体調がよくなります。クリニックでも、慢性的な疲れ、冷え性なども患者さまも、食事を意識してかえていただくだけで、疲れがといれてきた、冷え症せがよくなったという方が結構いらっしゃいます。
カリフォルニア大学バークレー校のブルース・エイムス教授(突然変異の試験(エイムス試験)で有名)は、亜鉛、鉄、ビタミンC、E、B6、B12、カロチンなどが不足すると、遺伝子DNAが切断されるなど、放射線をあびたことと同じような状況になると報告しています。ミナラル不足は非常に危険なことがわかります。
ミネラルを十分とれるような食事は、いくつになっても大切です。最近は、体内のミネラル検査方法として、髪の毛を使うことなく、手にレーザーを数か所あてることでミネラル検査ができる機械が海外で開発されています。日本でも使用できるように機械が導入されてくると思います。