遅延型アレルギー検査とはなに

まずは、アレルギーとは

食物アレルギーが言及されたのは、今から約100年前の1905年にさかのぼります。フランセス・ハレ博士(イギリスの環境医学の精神科医)は、痛風や湿疹等のいくつかの症状が食物と関係することを発見しました。そして、その問題の食物を取り除くことで症状が最終的には治ることを発見したのです。

また、ウィーンの医師であるフォン・ピルケー氏は、1906年に、「変貌した反応性」を意味する「アレルギー」という言葉を初めて使用しました。同氏は、アレルギーを持つ人は環境における何かに過剰反応していると表現しました。

多くのパイオニア的学者が彼らに続きました。そして、食物アレルギーは、今日でも大きな関心が寄せられている分野です。

これらの事実上無限とも言える環境のアレルゲンは、我々の免疫システムに戦いを誘発し、アレルギー反応(または過敏性)を発生させます。

実は、ほとんどすべてのものは、我々の免疫システムを刺激し活性化させる可能性を持っています。化学物質の多くと同様に、食物、花粉、動物の鱗屑、カビ、酵母菌、細菌等は最もよく知られているアレルゲンです。これらの事実上無限とも言える環境のアレルゲンは、我々の免疫システムに戦いを誘発し、アレルギー反応(または過敏性)を発生させます。

我々の免疫システムは、我々の新陳代謝に対し危険、あるいは、かく乱作用の可能性があると見られるアレルギー抗原のひとつひとつに対し、免疫グロブリン(抗体)というものを作り出します。これらの抗体は、防衛措置の一環として著しい炎症というプロセスを介在します。アレルギー症状は、これらの抗体によって引き起こされたプロセスの直接的結果と言えます。

アレルギーの原因は何かわかりますか

牛乳、小麦、トウモロコシ、大豆、柑橘類、トマト、ピーナッツ等、一般な食物に対するアレルギー反応は、ウイルス感染や反復性の風邪と間違えられることがあります。

多くのよく知られるアレルギー症状(疲労、頭痛、不安、鼻水や鼻の痒み、目の腫れ)と、その原因となるアレルギーとの関係に何年もの間気づかないこともあります。

ストレスの増加、反復性の感染、健康の衰えによって、慢性アレルギーが更にひどくなることもあります。原因となるアレルゲンを見つけ出し、食生活から取り除くことをしなければ、年月を経ることによって、関節炎、胃腸病、自己免疫疾患、湿疹、片頭痛等といった、食物アレルギーに関連する深刻な症状が、慢性化する恐れがあります。

偏った食生活や不適切な食生活、ストレス、遺伝性素因、感染と炎症、化学物質、薬物、環境汚染物質と毒素等は、すべてアレルギー発生の要因となる可能性があります。

ほとんどの人は、喘鳴(ぜんめい)、鼻水、過敏性腸症候群、片頭痛、湿疹等の不愉快で活力を失わせるようなアレルギー症状は知っています。

現在はアメリカの人口の25%は、何らかの食物、化学物質、吸入抗原等に対して、顕著なアレルギー反応を持っています。一時的な不安感や関節痛、全身疲労、水むくみといった、あまり顕著でない症状を含めた場合には、本当のアレルギー発生率や不耐性は更に高くなると考えられます。

遅延型アレルギーとは

最近、体の不調の原因として、フード(食物)アレルギーが関わっていることが、注目されています。

私達がイメージするフード(食物)アレルギーというと、特定の食べ物を食べた後に、蕁麻疹が出たり、気分が悪くなったりといったように、すぐに症状がでるものを想像しますね。
しかし、これとは別に、フード(食物)アレルギーには、遅延型(おそくあらわれるということ)といわれるもう一つのタイプがあります。

これが、隠れ食物アレルギーです。

その最大の特徴は、遅延型つまり、症状の発現が遅いため、
原因である食べ物に気付かないまま過ごしている、ということが多いのです。

そのため、慢性的な症状を抱えながらも、原因が分からず、漫然と過ごされている方が多いのです。
遅延型タイプの反応は比較的目立たず、かつ、アレルゲンとの接触後数時間から数日経って初めて反応が出ることから、原因の特定がより困難です。

遅延型反応は、多くの場合、食物アレルゲンに対する過敏性からきています。このタイプのアレルギーは、よく「隠れアレルギー」と呼ばれます。

慢性疲労、関節炎、じんましん、湿疹、頭痛、水分貯留、過敏性腸症候群、その他、多くの慢性症状が、未治療のIgG抗体の介在によるアレルギー反応であることに気づかれないまま放置されています。

毎日、なんとなく元気が出ない、朝起きても体調不良と感じたり、慢性的な疲労感があるけれど、病院にいってもとくにこれと言った病気が発見出来ていない方が最近おおくクリニックにもおみえになります。

このようかたは、もしかすると・・・、隠れ食物アレルギーかもしれません。

IgE型とIgG型のちがい

即発型、IgE抗体

このタイプのアレルギー反応は、IgE抗体というものの介在によるものであり、通常はアレルゲンとの接触後ただちに発症します。特定のアレルゲンに反応した高レベルのIgE抗体により重篤なアレルギー反応が引き起こされます。

このタイプの反応としては、みなさんがよく経験する、喉の腫れ(呼吸困難)、じんましん、膨満感、胃痛・腹痛、喘息、突発性の下痢等が挙げられます。

IgE反応は、食物または吸入によるアレルゲンへの暴露の直後に起こります。
通常、アレルゲンへの暴露から15分以内に初期相反応が現れます。
その後、後期相反応が4-6時間後に現れ、浮腫や炎症が何日にもわたって続くことがあります。

遅発型 IgG抗体

IgG抗体は、血液中で最も多くみられる抗体です。

炎症のプロセスは数時間から数日間と緩やかであるため、このタイプの反応は「遅延型」と呼ばれます。 免疫細胞が即ちにこれらの免疫複合体を処理しますが、その能力には限界があります。

抗原を体から排除しようとする免疫細胞の能力を、過剰な抗原が飽和してしまう場合があり、その結果、免疫複合体が長期間にわたって体内を循環し、体組織への沈着が起こります。
IgG抗体による食物アレルギーに起因する症状は多岐に渡ります。

日本で一般的に行われているアレルギー検査は、食べてすぐに反応を起こす即時型というタイプのアレルギー検査です。
隠れアレルギーの原因を探るには、食物IgG検査によって、遅延型アレルギーに対する反応が検査する必要です。これは血液を数ml、わずかに使う検査です。

遅延型アレルギーの症状にはどんなものがあるのか

遅延型アレルギーの症状は、体の内外を問わず多岐に渡り、一般的にアレルギー症状とは認識されないものも多く含まれます。
さらに、メンタル面への影響や肥満との報告も報告されています。

原因不明のじんましん、湿疹(しっしん)、過敏性腸症候群など、慢性的な不調に、食物アレルギーの可能性があると注目されています。 アレルギーの症状が現れるまでに、数時間から数日間と時間がかかり、また反応が弱いため、なかなかアレルギーであると気づかれにくい傾向があります。

肥満にも関係しています。遅延型フードアレルギーのある食べ物を食べると小腸が炎症を起こしサイトカインという炎症や免疫に関わる物質が増え脂肪細胞にダメージを与え脂肪細胞が肥大化し太ってしまうこともおこります。

具体的な遅延型アレルギーの症状

消化器系
消化不良、吐き気、嘔吐、過敏性腸症候群、下痢、便秘、膨満感、胃潰瘍、肛門掻痒、腹部のけいれん痛
泌尿器系
頻尿、排尿時の激痛と夜尿症(子供の場合)
精神的
極端な感情起伏、不安、ゆううつ、過食症、集中力不足、疲労、活動過多と不機嫌(子供の場合)
首と頭
耳感染、鼻詰まり、反復性の副鼻腔炎、頭痛、片頭痛、咽頭炎、口のびらん
喘息、不規則な心拍
筋肉と関節
筋肉痛、関節痛、関節の炎症、関節リウマチ
その他
水分貯留、体重増加、湿疹、じんましん、過剰発汗など

ご覧のとおり、あらゆる症状が食物アレルギーと関係しています。

しかし、これらのリストはあくまでも情報の一部にすぎず、考えられる可能性のすべてを網羅しているわけではありません。

従って、自分の症状がここに載っていないからといって、自分の症状は食物アレルギーに起因していないとは言い切れないのです。

遅延型アレルギー検査の流れ

数滴の血液を、採取させていただくのみです。検査シートに血液をたらして、乾燥させて、海外に送付します。96種類の食べ物についてのアレルギー反応をチェックします。

3-4週後に結果が送付されてきます。
その後に患者さまに私から説明をいたします。

検査費用

現在は自費の診療で、保険はききません。
検体(血液)を海外に送付したりするため、費用はクリニックによってかわりますが、2万5千円から3万5千円だとおもいます。
メディカルブランチ表参道では、検査料は、説明、指導も含めて3万円2千円で検査を行なっております。

治療

遅発型(潜在性)フードアレルギーが陽性に出た場合免疫反応を鎮静化するために原因となる食物を避ける必要があります。

強い反応が出た場合は、3〜6ヶ月、原因となる食物を完全に断つことが必要な場合があります。遅延型アレルギーになってしまうと、6ヶ月間アレルゲンを抜く必要があり、その食品を食べられなくなってしまいます。6ヶ月食べなければ腸内の抗体免疫が切れるからです。腸内の抗体免疫を作らせないためには、週4日以上同じ食べ物を食べないことが大切です。好きな食材は、メーカーの違うものを選んで食べるように指導します。

このことを、食物をローテーションするといいます。

ローテーションの目的は、同じ食物を頻繁に摂取することを防ぐことにあります。摂取の頻度が高いと、食物へのアレルギー反応が悪化することがあるためです。
上記と並行して、消化吸収機能を徹底的に改善する必要があります。

ぜんそくやアトピー性皮膚炎ではIgEが上昇していることが多いのですが、IgEが低値でも、この症例のように特定の食物に対するIgGが高値であることが比較的多く見られるといわれています。また、即時型と遅発型(潜在性)の両方のアレルギーを持っているケースも少なくないようです。

IgG学会の見解

血中食物抗原特異的IgG抗体検査に関する注意喚起米国や欧州のアレルギー学会および日本小児アレルギー学会では、食物アレルギーにおけるIgG抗体の診断的有用性を公式に否定しています。その理由として、以下のように記載されています。

すなわち、
①食物抗原特異的IgG抗体は食物アレルギーのない健常な人にも存在する抗体である。
②食物アレルギー確定診断としての負荷試験の結果と一致しない。
③血清中のIgG抗体のレベルは単に食物の摂取量に比例しているだけである。
④よって、このIgG抗体検査結果を根拠として原因食品を診断し、陽性の場合に食物除去を指導すると、原因ではない食品まで除去となり、多品目に及ぶ場合は健康被害を招くおそれもある。

以上により、日本アレルギー学会は日本小児アレルギー学会の注意喚起を支持し、
食物抗原特異的IgG抗体検査を食物アレルギーの原因食品の診断法としては推奨しないことを学会の見解として発表いたします。
参考文献: Stapel SO, et al. Allergy 2008; 63: 793-796.
Bock SA. J Allergy Clin Immunol 2010; 125: 1410.
Hamilton RG. J Allergy Clin Immunol 2010; 125: S284.
日本小児アレルギー学会ホームページ:
「血中食物抗原特異的IgG抗体検査に関する注意喚起」

平成27年2月25日
一般社団法人日本アレルギー学会
理事長 斎藤博久

おわりに

大半の人と医師の多くが、いまだに体調不良や健康の衰えが食物に起因していると考えていないことは大きな懸念です。病気の原因を知らない限り、身体の苦しみは続きます。

食物アレルギーの発生率は広く争点となっています。10年程前、アメリカの人口の10%は免疫変調の食物過敏の影響を受けていると推定されていました。 そして食物アレルゲンの数は増え続けています。この増加に伴って臨床的適応はさらに複雑な症状に進化しています。

いずれの食物アレルギーの症状も非常に多様で多次元的です。

人は皆それぞれであり、同じ食物アレルギーでも現れる症状が大きく異なることがあります。いろんな症状が食物アレルギーからきている可能性があるという認識を高めることは必要です。ただし、他の病気が原因である可能性もあるということを心に留めておくことは重要です。

この検査の存在をしって、原因をつきとめ、体調が回復することができることを、祈っております。