【正しいキズの治し方】第8回:まず洗浄です

senjou
日常の傷であっても手術で縫合した傷であっても、
必要のない消毒はしないのが常識です。
それでは,消毒ではなく何をすべきなのでしょうか。
それは洗浄、つまり傷を洗う行為です。

消毒をしなくても洗浄することにより、
傷の部分の細菌の数を減らしたり異物を取り除くことができます。
洗浄に水道水を使っても構いません。
浸透圧が生体に近く滅菌された生理食塩水は理想的な洗浄液ですが、
洗浄行為は短時間ですから普通浸透圧のことまで考える必要はありません。
利用のしやすさとその十分な効果を考えると,洗浄は水道水で構いません。
ただし,水道水を傷にただダラダラと流すだけではなく,
細菌や異物を除去できるようにやや圧がかかるようにして流すべきでしょう。

私は外科医ですが、手術室の洗浄は水道水で、
昔の医療ドラマでやっていたようなブラシで腕をごしごしこすったりはしません。
今は、自分の手のひらで、腕、手をこすって、よく洗浄しています。

汚染が強ければ,
出血や疼痛に注意しながらきれいな布などで擦らざるを得ないときがあります。
このようにした場合、それらの繊維が異物として残らないように注意します。
油性のしつこい汚れには,石鹸の使用が必要になるかもしれません。

できた傷のなかに木片のような異物が残ったままだと、
創傷治癒を傷害してしまいます。
指先のけがで、爪の周囲の皮膚がなくなったり切断したときでも、
ほとんどそのままの状態で傷を治すことができます。
このような場合も、
細胞が働きやすい環境を作ってやれば、縫合や植皮術をしなくても傷は治ります。
受傷時に止血の処置を行い、そのあと洗浄と湿潤環境の維持を続けます。
徐々に,肉芽組織の増殖と上皮の形成が起こり治癒していきます。