【正しいキズの治し方】第6回:何を使って傷を覆うのが良いのでしょうか?

bansoukou
生き物の体には多くの細胞活動による自己治癒力が必ず備わっています。

この治癒力が十分発揮されるためには、
患部が乾燥しない滲出液による湿潤環境が必要なのです。
このことは、いまでも一般的ではないかもしれません。

この目的に合ったドレッシング(傷を覆うこと)の材料としての
創傷被覆材があります。
創傷被覆材は傷から出る滲出液を保持して、
細胞が働きやすい湿潤環境を作り治癒を促進
します。

被覆材には良好な肉芽や上皮の形成、疼痛の軽減効果を認めますが、
製品によっては止血や傷の保護効果を期待できるものもあります。
また、壊死組織を取り除くことも可能で、
この作用は組織を溶かす蛋白分解酵素の生理的な働きを、
壊死組織の存在する場所だけで発揮させることによるものです。

このように創傷被覆材は、
肉芽組織や周辺健常組織への傷害を起こさず低侵襲性であるという特長があります。

基本的に,被覆材は数日に一度の交換で構いません。
傷の処置回数を少なくできるという長所もあるのです。
ただ,滲出液が多かったり壊死組織を除去しようとするときは、
交換回数を増やします。


現在は手術の傷は、昔とちがって、毎日消毒はしません。
抜糸までの間1週間の間に出血がないか数回見る程度です。
その際も消毒液は使用しません。

傷の治癒には湿潤環境が大切であるという考えが発表されてから、
すでに50年前後が経っています。
湿潤環境をうまく維持できる創傷被覆材が製品化されたのも、約30年前です。
現在,選択に困るほど被覆材が多く製品化されていますが、
いまだに湿潤環境維持による治療の考え方が広く浸透していないように思います。
医師ですら、啓蒙が足りないように思います。

このようにさまざまな傷の治療に、創傷被覆材の利用は非常に有効です。
利用方法も簡単であり、傷にくっつきにくい製品を使えば、
ガーゼに比べて交換のときの傷みもはるかに少なく、治る期間も短くなります。