【正しいキズの治し方】第4回:消毒について

shoudoku
みなさんは、傷についた菌を殺そうとして消毒をされると思います。

理想的な消毒剤を考えてみると、
いろいろな種類の病原菌に確実に作用してその効果も持続し、
傷を治そうとしている細胞や傷の周囲にある正常な組織には
無害であるものが理想的な消毒剤でしょう。
しかし、このような理想的な消毒剤はないのです。
それどころか、実は消毒剤には細胞に対する毒性があり、
傷を治すために活動する細胞を傷害します。

前にも述べましたが、私が外科医になった1986年時点では、
傷は消毒するのがあたりまえだと教えられていました。
ところが、消毒剤によりアレルギー反応や接触性皮膚炎を起こす人もいます。
濃い色のついた消毒剤では、
組織に色が付着して傷の状態がわかり難くなることもあります。
昔は確かにそうでした。

しかし、現在では、消毒剤は使用しなくてよいのなら使用すべきではないのです。

現在、医療の各分野では低侵襲の治療が求められています。
傷の処置でも、この考え方は必要です。
侵襲を与える恐れのある(害を起こす恐れのある)消毒剤は、
使用しなくてよいのなら使用すべきではないのです。
消毒が許されるのは、はっきりと感染を認めたり、
明らかに傷がひどく汚染されている場合です。

感染があると思われるのは、
傷周囲の発赤、熱感、腫脹(はれ)、疼痛,傷からの排膿、全身的発熱があるときです。
「ジクジクしている。」、「しるが出ている。」、「少し赤い。」だけで感染している、
膿んでいると思わないでください。

外傷による傷は,基本的には汚染されていますから、
消毒するのもやむを得ないのですが、
消毒のあと洗浄し消毒剤を洗い流すのが理想的です。

すべての病原菌に効果を持つ消毒剤はないのです。
消毒剤の効果持続時間は限られていること、
深部組織にいる細菌までは消毒できないこと、
たとえ消毒剤が効いても残った細菌の増殖力によりまた細菌が増えること、
消毒に綿球を使うと綿球の繊維は異物となって
傷に残る恐れがあることなどの問題があります。

現代では、消毒という行為も再考されるべき時期になっています。
感染や強い汚染がなければ、すり傷から縫合創、床ずれまで
どのような傷でも消毒は不要なのです。
大事なことは、水道水でもいいので、とにかく洗い流すこと、洗浄が必要なのです。