【正しいキズの治し方】第2回:傷はどのようにして治っていくのでしょうか?

hihu
もしかすると、傷を治すのは医師だと勘違いされていませんか?

傷を治しているのは,実はみなさんご自身なのです。
医師が行うのは傷が治るような環境作りであって,
実際に傷を治すのはみなさんの体なのです。
では、傷のところではどのようなことが起こっているのでしょうか。

まず、けがで傷ができると,出血しますね。
でも、体は出血を放置はしません。
体を守る手段として、傷の部分の血管の収縮や血液中のなかの成分の一つである血小板などの止血機序により出血を止めようとします。
傷のところで固まった血液塊は、外力や感染,乾燥から傷を保護する働きがあります。

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組織の中では、傷に向けて炎症細胞の浸潤が起こり、
引き続いていろいろな細胞の活動が活発に行われます。

傷にみられる、にじみでる液(これを滲出液といいます)の中の
好中球や大食細胞(傷をきれいにする)、線維芽細胞(傷を修復する肉芽組織を作る)、血管内皮細胞(血管を作る)、筋線維芽細胞(傷を収縮させる)、表皮細胞(最後に傷を覆う)、さらに細胞成長因子など各種サイトカイン(細胞の移動や活動を盛んにする)や蛋白分解酵素(組織を溶かす)が、一生懸命働き傷を修復しようとしているのです。

傷の存在が細胞により認識され細胞の移動と活動が起こり、
出血期、炎症期、組織増殖期、瘢痕成熟期を経て傷が治っていきます。
また、傷には収縮現象が起こります。
小さくなろう小さくなろうともして、傷は治ろうとするのです。

このように、生体には傷を治す力があり、
これを自己治癒力といっていいます。
どの生き物も必ず持っています。 

なお,表皮(皮膚の一番外側の部分)は周辺皮膚から再生してきますが、
傷が比較的浅く傷の中に汗を出す腺組織や毛包が残っていると、
これらの皮膚付属器からも表皮が再生されます。
この程度の傷の場合は,傷の収縮現象は基本的には起こりません。