【正しいキズの治し方】第10回:滅菌されたガーゼを使う意味はあるのか?

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皮膚には常在菌(表皮ブドウ球菌など)が必ずいます。

常在菌がいる状態が,健康な皮膚です。
そしてこれらの常在菌は,毛穴の奥深くまで棲みついています。
ということは,手術して縫合した傷周囲の皮膚にも,
傷からちょっと離れた皮膚にも,常在菌は必ずいるのです。
皮膚をいくら消毒したところで,
これらの常在菌を完全に死滅させることは不可能です。
一時的に全て除去できたところで、
ちょっと時間がたてば、毛穴の奥からまた、細菌が増殖してくるのです。

つまり、皮膚を消毒するのは、
大腸粘膜を消毒して大腸菌を全て取り去ろうとするのと同様に不毛の努力になります。
なので、傷の周囲を消毒しても皮膚常在菌を除去できるわけではないのです。
つまり,「傷の周りを消毒」しても,
医学で言う「清潔な皮膚(=細菌のいない皮膚)」は作り出せるはずがないのです。

皮膚に関する限り「清潔(=無菌)」というのは幻想なのです。

以上から,
「消毒されてはいるが,常在菌だらけの傷(とその周囲の皮膚)」を
「滅菌されたガーゼ」で覆うのが以前の医学常識でしたが、
実は意味がない行為であったということです。

そもそも,「滅菌ガーゼ」にしても「清潔操作」にしても,
それが目的とするのは
「外から細菌を持ち込まないように」というものだったと思われます。

しかし、どんな傷にしろ、
そこには必ず皮膚常在菌というものが存在するのです。
常在菌がたくさんいるのに、
「外から細菌を持ち込まないように」というのは全くナンセンスだったのです。
ガーゼに意味があるとすれば、それは、
出血を吸収し、多すぎる浸出液を吸収するためです。
これ以外の意味をガーゼに見出すことは難しいと思います。

やけどについて

やけどは,火,お湯,蒸気,薬品,高温のものとの接触などで生じます。

やけどをしたら,第一に冷やすことが大事です。
冷却によりやけどの範囲が拡がるのを防いだり、
痛みや腫れを軽くすることができます。
受傷後6時間までは効果があると言われています。
15°前後の水道水が適当で,30分以上行います。
原因が薬品の場合は、薬品を洗い流すために水でじゅうぶん洗浄します。

衣服から出ているところは冷やしやすく、当然そのまま冷やします。
ただし,冷やすことにあたって、小児では体温が下がらないように注意します。
こたつで発生した低温やけどは結構深いことが多く、
また時間とともに拡がることがあり注意が必要です。 

やけどの深さは,
・Ⅰ度(表皮までの損傷,紅斑)、
・浅いⅡ度(真皮浅層までの損傷,水疱やびらんがあり赤色)、
・深いⅡ度(真皮深層までの損傷,水疱やびらんがありやや白色)、
・Ⅲ度(皮膚全層の損傷、光沢ある白色または硬く乾燥して無痛)
に分けます。

Ⅰ度は積極的な治療は不要です。
Ⅱ度は水疱が破れないように治療します。
水疱膜は良質な創傷被覆材なのです。水泡はとりません。

一応の目安ですがⅢ度で手のひらより大きいやけどは、
遊離植皮術(皮膚が無いところに体の他の場所から皮膚を採取して移植する方法)は
必要になります。
浅いⅡ度では2週間以内で治ることが多く、
この場合傷あとは残りにくくなります。

今はやけどの治療に秘薬というものは存在しません。
上手に治すのは、やはり創傷治癒の理論に沿った方法です。